ヴィーニョ・ヴェルドについて
歴史
ヴィーニョ・ヴェルド(Vinho Verde:日本では「ヴィーニョ・ヴェルデ」とも表記)は、ポルトガル北部にある欧州最大規模の産地です。
歴史の深いポルトガルを代表する銘醸地でもあります。
すでに古代ローマ時代の著述にも記されたほど、現在のヴィーニョ・ヴェルド地域のワインはローマまで名声を得ていたことがわかります。
名称としても古く、1606年には「Vinho Verde」という呼称がポルト市議会文章で使用されていたことが確認されています。
1908年には法律で現在のヴィーニョ・ヴェルド地域の境界線が定められ、ワインの産地(DOC: denominação de origem controlada)として規定されました。
テロワール
北はミーニョ川で区切られ、西は大西洋、南と東は標高1000mから1400m程度の山々に囲まれています。
一年を通して比較的冷涼で、またブドウの収穫を終えた秋から春にかけて降水量の多い地域です。地域内に擁する五つの一級河川も、ブドウの性質に影響を与えていると言われています。
地質としては大部分が花崗岩の地層を基盤としていて、浅い表層に砂質かローム質を有つ酸性土壌です。
品種
様々な固有品種が現存しています。栽培品種としては白ブドウのアルヴァリーニョ(Alvarinho)とローライロ(Loureiro)が大半を占めます。またトラジャドゥーラ(Trajadura)もブレンド用に比較的多く栽培されています。
黒ぶどうは少なく、イシュパダイロ(Espadeiro)、パダイロ(Padeiro、Padeiro de Bastoとも)、ヴィニャンオ(Vinhão)などがあります。
生産されているほぼ全てが白ワインであり、2022年の生産量では88%が白ワイン、8%がロゼワイン、4%が赤ワインでした。輸出に限れば、ほぼ全量が白ワインのみです。
特徴
ヴィーニョ・ヴェルドのワインがもつ無二の個性は、強烈なアロマとフレッシュさと表現されます。
白ワインには、針の様だと形容されることもあるほど豊かな酸味と、グラスに注いだ瞬間に溢れる芳醇な香りがあります。
白ワインであってもM.L.F.が推奨されていて、酸味は強さだけではなくバランスの良さも大切にされています。
産地呼称と認証
制定以来、永く赤と白のみがDOCとして承認されていましたが、1999年よりロゼワインとスパークリングもDOCを冠することになりました。
そしてIG(Indicação Geográfica: 地理的表示)ヴィーニョ・ルジオナル・ミーニョ(Vinho Regional Minho)という認証も登場し、伝統的な製法のみに留まらず革新的な技法や技術を取り入れることで、産地のポテンシャルを開拓しています。
なお、歴史的な州名、地方名であるミーニョは、ヴィーニョ・ヴェルド地域の栽培地域とほぼ一致するため、Vinho Verde/Minhoとしばしば併記されます。